チロは……
この世にはいろんなひとがあまりにもたくさんいて、
誰ひとりとして同じひとはおらず、
たくさんたくさん歩いてゆくから、
実はひとりぼっちだということに気づく。
ひとりぼっちで生まれて
ひとりぼっちで生きてゆくなら
せめて こうして一緒にいるとき
手と手をつないでいよう
と、歌うフォークシンガーがいるけど、
ぼくはもう、誰ともつなぎたくない。
ぼくはチロと暮らすんだ。
チロは、
ぼくが泣いているとき、
ずっとそばにいてくれる。
チロは、
ぼくが病に苦しむとき、
ずっとそばにいて、心配そうに見つめてくれる。
チロは、
ぼくがうれしくてうれしくて仕方ないとき、
ずっとそばにいて、チッポを懸命にふってくれる。
チロは、
ぼくを絶望のいちばんすみっこに
追い詰めるようなことは、
絶対に言わない。
だけど思うんだ。
ぼくはひょっとしたら、
誰か殺したかもしれないって。
ねぇ、チロ、
ぼくは天国にゆけるかな?